インターネットが生活に深く関わる時代となり、数多くの企業がデジタルマーケティングに力を入れるようになりました。その中で、近年になって『マーケティングオートメーション』というツールが注目されています。
『マーケティングオートメーション』は、Webマーケティングでのあらゆる業務を自動化できるため、効率や成果を向上させる上でぜひ取り入れていきたいシステムです。
今回は、マーケティングオートメーションの基礎知識や使える機能、活用方法などについてわかりやすく解説していきます。
この記事を読んだらわかること
・マーケティングオートメーションの機能一覧
・マーケティングオートメーション導入の注意点や、ツールの選び方
・おすすめのマーケティングオートメーションツール6選
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マーケティングオートメーションとは
マーケティングオートメーションとは、見込み客の情報を一元管理し育成していきながら、優良見込み客を絞り込んでコンバージョンへ繋げていく一連のプロセスを自動化するためのツールです。
基本的なマーケティングオートメーションの機能は見込み客を管理・セグメントできる点にあります。
氏名やメールアドレス、会社名などの属性情報に加えて、WEB訪問履歴やメールの開封、セミナーの出席などの行動情報も記録します。顧客、一人ひとりの行動や状態を識別しマーケティング施策に活用していきます。
マーケティングオートメーションツールには、クラウド型とソフトウェア型の2タイプがあり、数万〜数十万円ほどで導入できます。
マーケティングオートメーションが重要視される理由
TVや新聞・雑誌などのマス広告が主流だった時代は、企業からユーザーに対して情報発信していくプッシュ型が一般的でした。
現在のようにスマホなどのデバイスや高速通信回線もなかったため、詳細なユーザー情報を知るのは困難で、ユーザーの消費行動も『企業から情報を受け取って購買する』というシンプルなものでした。
しかし、スマホなどのデバイスや高速通信回線が登場し、ユーザーの消費行動は大きく変化しました。
特に、SNSなどの登場で簡単に口コミや商品情報を得られるようになり、比較・検討から購入までWeb上で完結することも少なくありません。
それらの普及に伴い、企業側はユーザー情報の管理が困難になりつつありました。
膨大なユーザー情報を手作業で管理するには手間や人件費がかかります。
そこで効率よく管理するためのツールとしてマーケティングオートメーションが開発され、今日まで重要視されてきたのです。
デマンドジェネレーションという考え方
マーケティングオートメーションの具体的な説明に入る前に、マーケティング活動で基礎となる『デマンドジェネレーション』の考え方をおさらいする必要があります。
この考え方をしっかり認識しておくことで、『マーケティングオートメーションがどの場面で活躍するのか?』という全体像を把握できるからです。
『デマンドジェネレーション』には、以下の3つの考え方があります。
- リードジェネレーション
- リードナーチャリング
- リードオリフィケーション
それぞれの考え方を詳しく見ていきましょう。
リードジェネレーション(リード獲得)
リードジェネレーションとは、『見込み客(リード)を獲得』するためのマーケティング活動を言います。これは、企業にとって最も重要なフェーズであると言っても過言ではありません。
ポイントは不特定多数ではなく、企業や商品・サービスに興味を持っている『見込み客』を集めることです。そのためマス広告などではなく、次のような様々な施策から良質な見込み客情報を獲得し、リスト化していきます。
- 名刺交換
- 問い合わせ
- SEO
- 広告
- SNS
- メルマガ登録
- 資料請求
- キャンペーン
- セミナーなど
マーケティングオートメーションでは、こういった施策で獲得した顧客リストを一元管理できます。
リードナーチャリング(リード育成)
リードナーチャリングとは、簡単に言うと『見込み客の育成』です。リードジェネレーションで獲得した見込み客の属性は単一ではなく、以下のように様々なタイプがあります。
- 企業や商品・サービスを気に入っているリピーター
- 購買意欲が高いユーザー
- 商材に興味はあるが、必要性を感じていないユーザー
- 商材を知ってはいるが、必要性や興味が湧いていないユーザーなど
そのため、全てのユーザーにいきなり商談を促すことはできません。なぜなら、商材に必要性を感じていないユーザーに、初めから商談を持ち込んでも成功する確率はごく僅かだからです。
しかし、各ユーザーに合わせて記事・動画・セミナー・メルマガ・資料ダウンロードなど、様々な情報提供して育成し購買意欲を高めていけば商談が成立しやくなります。
マーケティングオートメーションを利用すると、メールの自動配信や開封率・到達率、資料のダウンロード数などのデータを取得し、見込み客の成熟度に合わせたアプローチを自動化できます。
リードクオリフィケーション(商談候補の選出)
リードクオリフィケーションとは、リードナーチャリングをしていく中で『商談に持ち込むべき見込み客を選別』することです。
見込み客を獲得して育成していくと、他のユーザーに比べて購買意欲が高いユーザーや商談次第で購買に至る可能性が高いユーザーが出てきます。
マーケティングオートメーションでは、蓄積したデータによって顧客リストをファイリングして、以下のように条件に合わせた選別ができます。
属性データ | ・職業 ・役職(BtoBであれば決済権の有無も) ・予算 ・年齢 ・性別 ・家族構成など |
行動データ | ・アクセス解析 ・メール開封率、到達率 ・資料ダウンロード率 ・セミナー参加率など |
これによって従来の営業活動よりも無駄な工数を大きく削減でき、商談へ繋がる確率が大幅に上がりました。
マーケティングオートメーションの機能一覧
デマンドジェネレーションが理解できたところで、早速、マーケティングオートメーションの具体的な機能を紹介していきましょう。マーケティングオートメーションツールは多くの企業が開発しているため、開発会社によって機能は様々です。
しかし、基本的には以下の4つの機能が備わっています。
- リード管理、選別
- 営業への通知とアサイン
- メール配信
- スコアリング
リード管理・選別
前記でも触れましたが、マーケティングオートメーションでは見込み客の管理や選別が主な機能となります。
見込み客の基本情報や連絡先はもちろん、アクセス解析によってサイト閲覧履歴やクリック率、メール開封率や到達率などあらゆる動きを管理していきます。
また、Web上の動向だけでなくセミナー参加率といったリアルな動向の管理も可能です。
さらに、こういった管理データを蓄積していくことで、データを元に見込み客をフェーズごとに選別できるようになります。
例えば、メルマガをよく開封してリンク先にアクセスしていたり、コンバージョンページまで進んだが成約まで至らなかったユーザーを選別し、より成約に繋がる情報を配信するなどしてアプローチできます。
また商材に興味がなくても、よく閲覧しているコンテンツ内容に関連した情報に誘導してアプローチするといった施策も可能です。
営業への通知とアサイン
マーケティングオートメーションツールでは、商談に持ち込むべき見込み客(ホットリード)を営業へ自動的に通知することもできます。
例えば、見込み客の動向を解析できても、膨大な見込み客の中からスピーディーにホットリードを見つけ出すのは簡単ではありません。
もし手作業でできたとしても、顧客情報やこれまでの動向も含めてその見込み客にふさわしい営業担当へ連絡するには、手間がかかってしまうでしょう。
しかしマーケティングオートメーションなら、事前に条件設定しておけばホットリードを自動で検知し、適切な営業担当へ自動通知ができます。
また、通知を受けた営業担当も、ツールによって見込み客のこれまでの動向を自由にチェックできるので、コミュニケーション不足による認識の偏りを削減できます。
メール配信
マーケティングオートメーションでは一斉送信のメルマガなどはもちろん、ユーザー属性やシナリオに基づいてメールを自動配信できます。
これは一般的なメルマガやステップメールとは違い、見込み客の情報や蓄積したデータをフル活用できるのが特徴です。
例えば、『1日の内に商品ページとお客様の声ページを閲覧したユーザー』と絞り込んで、あらかじめ用意しておいた『購買意欲を高めるメールを配信する』といった詳細な設定も可能です。
また、その際も開封率や到着率などを計測してデータとして記録できるため、今後のアプローチを考える上でも役立ちます。
スコアリング
スコアリングとは、ユーザー属性や解析によって蓄積したデータなどに数値を設定して『どれほどホットリードになっているか?』を採点するものです。
例えば100点満点のスコアリングで、以下のようにユーザーの行動にあらかじめ点数を設定しておきます。
【例1:行動スコアリング】
- メールを開封したら1点
- 資料請求したら5点
- セミナー参加したら30点
- 料金表を閲覧したら15点
- 製品情報を閲覧したら10点など
【例2:属性スコアリング】
- 企業の重役なら10点
- ペルソナと同年代なら10点など
このようにユーザーが起こしたアクションやユーザーや属性に合わせて点数が加算されていき、ユーザーの成熟度を確認できるのです。
また、ただ採点するだけでなくリストを生成したり、属性などで絞り込みを行なったりして効率的にリーチできます。
マーケティングオートメーションは前述の作業を楽にしてくれるので、導入をお勧めします。
マーケティングオートメーションを導入する前の注意点
ここまでマーケティングオートメーションの便利機能を説明していきましたが、導入には以下の2つの注意点があります。
- すべてが自動化できるわけではない
- すぐに効果は出ない
すべてが自動化できるわけではない
マーケティングオートメーションという言葉は魅力的ですが、導入したからと言って全てのマーケティング業務が自動化されるわけではありません。
マーケティングオートメーションでは基本的に、個々の分析やデータ管理などは自動化できます。しかし、導入前に名刺交換やメルマガ・資料請求などで獲得した顧客情報や分析データは、新たにインポートする必要があります。
また、見込み客のアプローチ方法など様々な設計やメルマガの内容など、事前準備や人力でこなさなければならない作業もあります。
ツールによって自動化できる部分やできない部分が異なる場合もあるので、その違いを認識して『現在の業務がどこまで自動化されるか?』を把握することが大切です。
すぐに効果は出ない
また、マーケティングオートメーションを導入したからと言って、すぐに効果が出るわけではありません。
マーケティングオートメーションは業績アップを約束するひみつ道具ではなく、あくまでも使用者によって結果が変わるツールに他ならないからです。
例えば、料理人が包丁を使用すれば美味しい料理ができますが、子供が包丁を使用すれば凶器にもなります
それと同じでマーケティングオートメーションも使用者に左右され、なおかつ社員が効率的に使えるようになるには時間がかかるのです。
また、ツールを使いこなせたとしても、自社やコンバージョンに合った見込み客の効果的な誘導方法(シナリオ)を生み出すために、様々な試行錯誤を重ねていく必要があります。
失敗しないマーケティングオートメーションツールの選び方
マーケティングオートメーションツールは多くの企業で開発されており、搭載機能も様々です。そのため、自社に合わないツールを選んでしまうと時間と経費を無駄にする可能性があります。
マーケティングオートメーションツールを選ぶ際は、以下の3つの点に注意する必要があります。
- 求める機能が揃っているか
- 他ツールとの連携ができるか
- コストと利益のバランスは取れているか
求める機能が揃っているか
まず、マーケティングオートメーションツールに自社が求める機能が揃っているかどうかを見極める必要があります。
例えば、BtoBのように営業担当へ顧客を繋げることが目的の企業なら、営業担当との連携機能が必要不可欠です。
逆に、Web上で商品販売などを行うBtoC企業なら、集客に力を入れて購入に繋げる必要があるため広告運用やコンテンツSEO、SNSやメール、LINEなど、あらゆるチャンネルとの連携機能が重視されるでしょう。
ツールを選ぶ際は、自社の販売プロセスを振り返りながら必要な機能をリストアップするのがおすすめです。
他ツールとの連携ができるか
マーケティングオートメーションは単独でも素晴らしいツールですが、他ツールと連携すればさらに業務の効率化が図れます。
例えば、SFA(営業支援システム)と連携しているツールなら、BtoBのように商談に持ち込むタイプの企業で効率アップが図れます。また、名刺管理サービスと連携していれば、導入の際に膨大な名刺情報を手打ち入力する必要がありません。
このように、『他ツールとの連携機能があるか』『どのようなツールと連携が取れるか?』によって業務効率化を図れる部分が変わってきます。
そのため、ツールの仕様をよくチェックし、自社の業務内容にマッチした連携機能があるツールを選ぶことが重要です。
コストと利益のバランスは取れているか
マーケティングオートメーションの導入コストは、数万〜数十万円までと様々です。使える機能やプランによっても価格が変動するので、コストと利益のバランスを見ながら選びましょう。
最初から機能が多すぎても使いこなせないので、事前にどんなことを自動化したいか明確にしておきましょう。事前に明確にしておけば、機能過多にならずにコストを削減できます。
おすすめのマーケティングオートメーションツール
ここからは、オススメのマーケティングオートメーションツールを6つ紹介していきます!
Oracle Marketing Cloud(旧Eloqua)
https://www.oracle.com/jp/marketingcloud/
『Oracle Marketing Cloud』は、クラウド型のマーケティングオートメーションツールで、大手『LENOVO』や『adidas』といった優良企業も多数利用しています。
BtoB、BtoC全てに対応した優れた機能を持ち合わせ、『見込み客の獲得』『見込み客のデータに合わせたアプローチ』『営業の効率化』が図れます。
また、『見込み客の獲得』では自社が獲得した顧客情報だけでなく、オラクルに蓄積された7億以上の顧客データにもアクセスできます。
さらに、利用社員ごとに権限設定をしてデータの公開範囲を制限するといった機能もあります。
価格はプランにもよりますが、数十万〜数百万円以上で大企業向けツールとなっています。
Marketo(マルケト)
https://jp.marketo.com/
『Makerto』は『FUJIFILM』『りそな銀行』『楽天』『LINE』『Panasonic』など、世界6000社以上で導入されているマーケティングオートメーションで、BtoB・BtoCに対応しています。
見込み客をフェーズごとに管理し、詳細なシナリオを設定すれば見込み客の育成を自動で行ってくれます。また、独自の分析ツールを搭載しているため、他のツールにはない、分析や設定が可能です。
Salesforce Pardot
https://tobem.jp/pardot_service/about_pardot.html
『Pardot』はSalesforceと一体型となっていて、主にBtoBや営業担当による商談が必要なBtoCに向いているマーケティングオートメーションツールです。
基本的な見込み客の情報管理・育成・ホットリードの絞り込みから営業への通知まで一貫した機能が揃っています。Salesforceというサービスが一体となっていることで、見込み客の状況の変化をスピーディーに感知できます。
価格相場は十万〜数十万円で、プランによって変動します。
SHANON MARKETING PLATFORM
https://www.shanon.co.jp/products/
シャノンの『Marketing Platform』は『NTT』や『ソフトバンク』『電通』『HITACHI』なども利用する国産のマーケティングオートメーションツールです。
見込み客のWebサイト・SNS・メールといったデジタル領域の行動管理や育成だけでなく、セミナーやイベントなどアナログ活動においての顧客管理・フォローに長けているのが特徴です。また、国産ツールなので日本語サポートです。
Kairos
https://www.kairosmarketing.net/
『Kairos』は、低価格でスピーディーな導入、マニュアル不要のわかりやすさを実現した国産のマーケティングオートメーションツールです。
他社ツールとの大きな差別点は、デマンドジェネレーションに必要な機能は全て搭載されているのに、導入するのも辞めるのも『手軽にできる』です。
初期費用はわずか1万円、月額費用も5000円から利用規模に応じて変動しするため無駄がありません。その上、1年の長期契約ではなく『半年〜』という異例の契約プランから始めることができます。
SATORI
『SATORI』は、『USEN』『unicharm』『TOSHIBA』なども利用する国産マーケティングオートメーションツールです。
デマンドジェネレーションに必要な機能は全て揃っていて、特に集客と見込み客の育成に強いのが特徴。
メールアドレスの有無にかかわらずアクセスしてきた全てのユーザーを解析し、メールアドレスがあるユーザーとないユーザーに分けて分析・アプローチできます
また、複数のサイトドメインをトラッキングできる上、IPアドレスから閲覧ユーザーの企業名も割り出すことができるため、より詳細なアプローチも可能となります。
価格は10万円からとなっており、有料でいくつかのオプションが付きます。
まとめ:マーケティングオートメーションを使って業務を効率化しよう
ユーザーの購買行動やマーケティング手法が多様化し、個々の見込み客にマッチしたアプローチが必須となる現代。膨大な顧客情報を管理適切に管理することが業績アップに必要不可欠です。
まずは自社の販売プロセスで必要な作業を明確にリストアップし、それに合ったマーケティングオートメーションツールを利用しながら、業務の効率化を図っていきましょう。
この記事のおさらいポイント
・マーケティングオートメーションは、デマンドジェネレーションの各フェーズにおいて必要な作業を自動化できる
・自動化できない部分や即効力があるわけではない点を踏まえ、自社に合ったツールを選ぶのがポイント
コンテンツマーケティングには広告、動画、SEO、オウンドメディアなど、様々な種類がありますが、弊社はオウンドメディアを軸としたコンテンツマーケティングの提案が得意です。 初心者の方からコンテンツマーケティングで成果を出せない方など幅広いお客様への対応が可能ですので、ぜひご相談ください!