ECサイトをゼロから構築していくのは大変ですが、CMSなら特別な知識がなくとも効率よく構築できます。
特にWordPressは無料のCMSで専門知識がなくてもブログやECサイトを構築できるためオススメです。
今回は、本当にECサイトをWordPressで制作した方が良いのか?そのメリット・デメリットや、制作にかかる料金相場・注意点などについて解説していきます。
この記事を読んだらわかること
・WordPressでECサイトを制作するメリット・デメリット
・WordPressでECサイト制作にかかる料金相場
・WordPressでECサイト制作をする際の注意点
WordPressとは?
WordPressは、HTML/CSSやプログラミングなどの専門知識がなくても効率よくWebサイトを制作・更新・管理できる、無料のCMS(コンテンツ管理システム)です。
世界中のWebサイトの約30%はWordPressで制作されていると言われていて、CMSの中では約60%のシェア率を誇っているのが特徴。オープンソースで数多くの人々がテーマやプラグインを開発しているため、ECサイトに必要な基本的な機能を手軽に追加できます。
またECサイトのようなカートや決済などの機能だけでなく、ブログ機能で誰でも簡単にコンテンツ配信しながら、マーケティング効果を高めることができます。
WordPressでECサイトを制作するメリット
ECサイトをWordPressで制作する場合、以下の5つのメリットがあります。
- 使い方が簡単
- 管理がしやすい
- プラグイン で簡単に機能を拡張できる
- ブログ機能があるので集客しやすい
- 比較的、0からECサイトを構築するよりも安く済む
使い方が簡単
まず、 WordPressには以下のような様々な機能が元から備わっている点です。
- 記事投稿・管理機能
- 画像・動画投稿・管理機能
- ヘッダー・サイドバー・フッターの編集
- 基本的なメニュー機能
- プラグイン(機能追加)
- テーマ(テンプレート)
ECサイトのカート機能や商品登録機能などは別途プラグインをインストールする必要がありますが、特別なカスタマイズなどを行わない限り、誰でも簡単に記事の投稿や商品ページなどの投稿を行うことができます。
また、使い方で何かわからないことやエラーで困ったことがあっても、数多くの人々がWeb上で解説しているので素早く解決できるのもメリットです。
管理がしやすい
WordPressは商品やコンテンツ(特集などの記事)の管理がしやすい点もメリットです。
WordPressでは特別なカスタマイズを行わなくとも、基本的にカテゴリー・タグ機能や予約投稿機能、公開・非公開・限定公開管理などが備わっていて、簡単な操作で管理をすることができます。
また、管理画面や投稿・メディア・ウィジェット・商品などの管理プラグインが豊富なので、自社でカスタマイズして使いやすくすることも可能です。
プラグインで簡単に機能を拡張できる
WrodPressは世界中で数多くのプラグインが開発されていて、それらのプラグインを導入するだけで、自由にECサイトに機能を追加することができます。
例えば商品管理だけでなく、以下のようにECサイトの運営に欠かせない機能が追加できるプラグインも豊富に揃っています。
- 効率的なSEO対策ができる
- ページ表示速度を最適化してくれる
- 手軽にサイトバックアップがとれる
- セキュリティを強化する
- クーポン機能をつける
- サイトレイアウトを自由に変更できるなど
プラグインはその機能が必要になった時点で導入できるため、ECサイト構築の段階で予期していなかった機能追加がある場合でも柔軟に対応が可能。
また基本的に無料のプラグインが多く、有料であったとしてもゼロから新機能を構築するより低価格で導入できます。
ブログ機能があるので集客しやすい
上記でも触れましたが、WordPressにはもともと記事を簡単に投稿できるブログ機能が備わっています。そのため、HTML/CSSなどを記述することなく、『商品を特集した記事』や『お客様の声』など様々なコンテンツを手軽に配信することが可能です。
このようなコンテンツは、検索エンジンで評価されることで上位表示される可能性が高く、上位表示されればECサイトへの集客にもつながります。
ECサイトは広告を打たない場合、検索エンジンからの集客が最も重要になりますが、商品ページで基本的な商品情報を掲載しているだけでは競合に勝つことはできません。
初めは広告を打っていたとしても、中長期的にSEO対策を行っていかなければ売上を伸ばすのは難しいのです。
ECサイトのSEO効果を高めて集客していくためにも、WordPressのブログ機能は重要な役割を果たしてくれます。
比較的、0からECサイトを構築するよりも安く済む
機能追加の項でも触れましたが、ECサイトをフルスクラッチなどでゼロから制作すると莫大な費用がかかります。規模によっては300万円以上かかることも珍しくなく、予算面でよほど余裕のある企業でない限り構築は難しいです。
しかし、WordPressでECサイトを制作すれば、基本的なサーバー代・ドメイン代のみで構築が可能です。例え有料のテーマやプラグインを使用して制作会社にカスタマイズを依頼したとしても、ゼロから構築するのに比べたら安く制作することができます。
またECサイトをゼロから構築した場合、スマホなどのモバイル対応も別途する必要がありますが、WordPressの場合は基本的にほとんどのテーマでモバイル対応されているため、少しのカスタマイズだけでスマホサイトも構築できます。
WordPressでECサイトを制作するデメリット
では、WordPressでECサイトを制作するデメリットはあるのでしょうか?ここでは、考えられる以下の3つのデメリットを紹介していきます。
- 最新の決済システムが導入しづらい
- セキュリティには常に注意を払う必要がある
- 公式のサポートは不十分
最新の決済システムが導入しづらい
WordPressでECサイトを制作する場合、カート機能などを追加できるプラグインを導入しても最新の決済システムまでは導入しづらいです。
また、不足している決済システムを複数のプラグインで補充しようとすると、インストールしなければならないプラグインが増えすぎてサイトの表示速度が遅くなってしまう可能性もあります。
そのため、数多くの決済サービスに対応させたいという場合はオススメできません。逆に基本的な決済システムさえあれば問題ない場合なら、WordPressでも十分対応できます。
セキュリティには常に注意を払う必要がある
WordPressのセキュリティは甘いわけではありません。WordPressでは、脆弱性が見つかったら常にバージョンアップしながらセキュリティ強化に努めています。
しかし世界中で使用されているため、ハッキング行為の標的とされやすい点は否定できません。
ECサイトはユーザーの個人情報や決済情報など重要な情報を保護する必要があるので、セキュリティプラグインを導入したりシステムをアップデートするなどして、常に対策していく必要があります。
公式のサポートは不十分
海外で開発されているWordPressは日本語にも対応し、日本語の公式サイトもあります。しかし、電話やメールなどで個別のサポートを行なっているわけではないため、何かあってもすぐに対応できません。
基本的に、問題が起こった場合はWordPressの公式サイトにあるフォーラムで質問したり、同じ問題を解決したケースがないか検索エンジンで調べる必要があります。
WordPressを使ったECサイト制作の料金相場比較
WordPressはサーバー代やドメイン代以外は無料でECサイトを制作することもできます。しかし、それでは他社のECサイトと似たり寄ったりになってしまい、差別化させることができません。
また、社内リソースがないためにWordPressを導入してECサイト制作をするのが難しいケースもあるでしょう。
そのような場合には、制作会社に依頼して構築する必要が出てきます。制作会社に依頼する場合に気になるのは料金ですが、以下の表で料金相場をまとめたので確認してみてください。
相場 | 対応内容 | 発注先 | 制作期間 | こんな方にオススメ |
〜50万 | テンプレートデザイン 打ち合わせ WordPress導入 EC機能設定 |
フリーランス 中小Web制作会社 | 1週間〜1ヶ月 | ・とにかく安く制作したい ・デザインにはこだわらない |
50万〜100万 | オリジナルデザイン 打ち合わせ WordPress導入 EC機能設定 プラグインの導入 サーバードメイン設定 |
フリーランス 中小Web制作会社 大手Web制作会社 | 3週間〜2ヶ月 | ・少しデザインにこだわりたい ・なるべく費用を抑えたい |
100万〜 | オリジナルデザイン 打ち合わせ WordPress導入 EC機能設定 プラグインの導入 サーバードメイン設定 独自機能追加 コンサル費 |
中小Web制作会社 大手Web制作会社 | 3ヶ月〜 | ・デザインにこだわりたい ・独自の機能を追加したい ・ECサイトを使用した戦略から運用までコンサルとして参画してほしい |
この中で、おおよその相場は60万〜80万円程度となります。
相場50万以下の場合
- 対応内容:打ち合わせ、テンプレートデザイン、WordPress導入、EC機能設定など
- 発注先:フリーランス、中小Web制作会社
- 制作期間:1週間〜1ヶ月
- こんな方におすすめ:安く制作したい人、デザインにこだわらない人
基本的な設定から公開まで対応してくれますが、サイトデザインにこだわることはできません。基本的に有料テンプレートの中から好みのものを選び、そのテンプレートデザインのまま使用する形となります。
相場50~100万の場合
- 対応内容:打ち合わせ、テンプレートデザイン、WordPress導入、EC機能設定、プラグイン導入、サーバードメイン設定
- 発注先:フリーランス、中小Web制作会社、大手Web制作会社
- 制作期間:3週間〜2ヶ月
- こんな方におすすめ:少しデザインにこだわる人、なるべく費用を抑えたい人
このくらいの相場になると、オリジナルのデザインでECサイト制作ができるようになります。また、プラグインやサーバードメインなどの設定も行なってもらえます。ただし、ページ数によって料金も変わってくるので注意が必要です。
相場100万以上の場合
- 対応内容:打ち合わせ、テンプレートデザイン、WordPress導入、EC機能設定、プラグイン導入、サーバードメイン設定、独自機能追加、コンサル費
- 発注先:フリーランス、中小Web制作会社、大手Web制作会社
- 制作期間:3ヶ月〜
- こんな方におすすめ:デザインにこだわる人、独自機能を追加したい人、ECサイトの戦略〜運用までのコンサルを受けたい人
ここまでくると、ほぼ全ての業務に加えて戦略から公開後の運用までコンサルとしてアドバイスを受けることができます。また、独自機能の追加も可能です。
戦略的に徹底してECサイトを展開したい場合は、この相場で構築していく必要があります。
WordPressでECサイトを運用する時の注意点
WordPressでECサイトを運用するとなったら、以下の3つの点に注意していきましょう。
- 集客ようのコンテンツページと販売用の商品ページを分けよう
- SEO対策を怠らない
- ECカートの選定
集客用のコンテンツページと販売用の商品ページは分けよう
ECサイトのSEO対策としてブログで情報発信することは重要ですが、商品ページにブログ記事のようなコンテンツを掲載するのはオススメできません。
確かにその方法なら商品ページが検索エンジンに評価されて上位表示されやすいです。
しかし商品ページに記事コンテンツを含めてしまうと、商品を購入したいユーザーにとってユーザビリティが悪くなり、カートの場所や商品の詳細情報・配送に関する情報などが確認しづらくなってしまいます。さらにその影響で、CVRが下がる可能性もあるため注意が必要です。
そのため、集客用のコンテンツページと販売用の商品ページは分けることが重要です。
例えば化粧品を販売しているECサイトなら、『自分にあった化粧品を選ぶポイント』のような集客用のコンテンツページと、『○○な人にオススメな”商品名”』のような商品ページに分けて、集客用ページから商品ページに誘導していきます。
このようにコンテンツページから商品ページへと誘導することで、商品ページの煩雑さを防いでユーザーの満足度をあげることができます。
SEO対策を怠らない
ただし、WordPressのブログ機能で記事を投稿しただけでは検索エンジンに上位表示されないため、SEO対策を怠らないことが重要です。
SEOとは、コンテンツ(記事など)を投稿して検索エンジンで上位表示されるように最適化することです。
検索エンジンではキーワードを入力して検索してくるユーザーに対して、有益なページを提供できるようにそれぞれのページを評価しています。
しかしそこで検索エンジンに評価されて上位表示されなければ、ECサイトの存在をユーザーに気付いてもらえないため、アクセス数や業績を伸ばすことができません。
そのため、ECサイトで商品ページやコンテンツを配信したら必ずSEO対策を行なって、検索結果での上位表示を目指す必要があるのです。
参考:【反響が数倍】ECサイトの5つのSEO対策をわかりやすく解説
ECカートの選定
ECサイトをWordPressで制作・運営していく場合、ECカート選定が重要なポイントになります。WordPressでは、国内外様々な種類のECカートプラグインやサービスが提供されていて、無料・有料どちらでも豊富な選択肢があります。
しかし、種類が多くそれぞれ特徴も異なるため、自社ECサイトに合わないプラグインを導入してしまうと運営しにくくなったり、ユーザビリティを下げてしまうことにもなりかねません。
後々変更するのは面倒なので、予め運用しやすいカートを選定しておくことが大切です。
参考:ショッピングカートのみ設置型ASPおすすめ比較|ECサイト制作
どちらも専門的な知識が必要で、ネット上で収集できる手法ではなかなか効果が出ないので専門家への相談をおすすめします。
ECサイト制作にオススメのWordPressプラグイン5選
WordPressには数多くのECカートプラグインがありますが、ここではその中で一番オススメしたい5つのプラグインを紹介します。
- Welcart
- WP-OliveCart
- easy myShop
- ネットショップ管理プラグイン
- WooCommerce
Welcart
https://www.welcart.com/
無料で数多くのECサイト専用機能を搭載した国産のプラグインです。国内では17,000以上のサイトが導入しており、国内ユーザーに必須の決済機能も標準でついています。
また何か問題があっても、フォーラムで質問すれば日本語で開発者とやりとりできますし有償サポートも受け付けているので、ECサイト運営が初めての人でも安心して利用可能です。
さらにクーポン機能や決済機能の追加など、様々な拡張機能を有料で追加することができるため、運営しながらECサイトをレベルアップさせられます。
WP-OliveCart
https://www.wp-olivecart.com/
複雑な機能などが必要なく、シンプルなカート機能を導入したい場合は、WP-OliveCartがオススメです。日本語に対応していて、以下のように無料版・有料版があるのが特徴。
- 無料版:ショッピングカート機能、商品管理機能
- 有料版:上記の機能+ 顧客管理機能、受注管理機能、会員機能、カード決済機能
わざわざテーマを変える必要もないため、気に入ったテーマで素早くECサイトを制作したい場合に最適です。
easy myShop
https://www.easy-myshop.jp/
easy myShopはWordPressのプラグインではありませんが、どのようなサイトでもHTMLやJavaScriptのコードだけを追加すれば『カート埋め込み』が可能となるサービスです。
テーマなどに依存しないため、既に運営しているサイトでもカートを追加することができます。
また他のプラグイン やサービスにはない独自の機能が豊富で、画像を綺麗に補正してくれる『キレイ画像』や、Facebook・InstagramといったSNSとの連携可能な機能など、無料から利用可能です。
ネットショップ管理プラグイン
ECサイトにオリジナリティのあるデザインのテーマを使用しつつ、手数料などを取られないで数多くの機能を使いたい人には、有料の『ネットショップ管理プラグイン』がおすすめです。
このプラグインは有料ではありますが、ECサイトに必要な基本的な機能からポイント機能、独自アフィリエイト機能、クーポン機能、クラウドファンディング機能など、Web事業で必要となるあらゆる機能が揃っています。
また、テーマを選ばないのでオリジナリティのあるECサイトを制作可能です
WooCommerce
https://woocommerce.com/
ECカートのシェア率世界No1を誇るのは、WordPressの定番プラグインWooCommerceです。無料で導入でき、世界中の人々が優れた拡張プラグインを開発しているため、ECサイトで必要なほとんどの機能を使えます。
また最先端の機能を搭載したプラグインの登場も早いため、競合他社より一歩抜きんでたECサイト制作ができます。
開発元が海外のため、サポートへの問い合わせや新開発のプラグイン導入には英語が必要ですが、日本でも数多くの人が利用していて使い方をWeb上で紹介しているので基本的な使い方はリサーチすれば利用可能です。
まとめ:WordPressを使用してECサイトを制作しよう
WordPressは基本的にはブログ記事などのコンテンツ制作に向いているCMSですが、汎用性が非常に高くSEO対策なども行いやすいため、ECサイト制作にもうってつけです。
操作も簡単で、一度作ってしまえば誰でもコンテンツ配信できるとても便利なツールなので、使わない手はないでしょう。
現在既に別のサービスでECサイトを構築している企業でも、WordPressを使ったコンテンツ配信も組み合わせればSEOで集客率をあげることができるので、この機会にぜひ有効活用して効果を高めていきましょう。
この記事のおさらいポイント
・WordPressは安価でECサイト制作ができ、使い方も簡単で拡張性が高い
・その代わり、サポートやセキュリティには注意する必要がある
・制作会社にWordPressでECサイト制作を依頼する場合、おおよその相場は60〜80万円