コーポレートサイトを長年所有していて、「そろそろサイトのリニューアルが必要だ」と感じることはないでしょうか?
Webテクノロジーやユーザーのアクセス環境は日々進化しているため、サイト構造が古かったりスマホに対応していなかったりすると、使い勝手が悪く印象を下げてしまう可能性があります。そのため、コーポレートに限らずWebサイトには賞味期限があり、数年ごとにリニューアルするのが理想的とされています。
しかし、様々なステークホルダーがアクセスしてくるために、何をリニューアルすればいいか悩んでしまうのもコーポレートサイトの難しいところです。目的がぼやけているとついつい表面上のデザイン変更に注目しがちになってしまいますが、リニューアルを効果的に行わないと成果が上がるどころか今までより悪くなってしまう可能性があるため注意をしなければなりません。
今回は、そのような失敗を防いでコーポレートサイトのリニューアルを成功させるために、絶対に押さえておきたい手順やポイント・注意点などについて解説していきます。
この記事を読んだらわかること
・リニューアルする手順・期間・費用
・リニューアルの際の注意点や、リニューアル後の運用方法
コーポレートサイトは、企業の特徴を魅力的に伝えながら、目的に適したサイト制作が必要です。
弊社は、初めてコーポレートサイトを作る方やリニューアルを考えている方など、幅広いお客様への制作に対応できますので、お気軽にご相談ください!
大前提:リニューアルするからといってCV・CVRが向上するとは限らない
まず大前提として、リニューアル後にCV・CVRが向上するとは限らないということを認識しておきましょう。例外として、今までスマホに対応していなかったコーポレートサイトが様々なデバイスに対応したり、ブラウザのアップデートに対応した場合は、確かに成果が向上する可能性はあります。
しかし、リニューアルで内部構造変化がSEOに影響を与えて、検索順位が下がりアクセス数が減少してしまったり、ナビゲーションの位置や文言が変わってユーザーが迷子になり成果に結びつかない可能性もあります。
実際、AIを使った最新の研究調査によると、Webサイトをリニューアルしてもその内の70%はCV・CVRが下がったと報告されていました。つまり、「リニューアルしたのに成果が上がらない」現象は珍しくないことなのです。
リニューアルにはデザインではなくコンテンツを重視する
「リニューアルでCV・CVRが向上するわけではない」と言うと『リニューアルは全く無意味なのか』と感じるかもしれませんが、それもまた違います。先ほどのAIを使った研究調査では、構造的な部分を変更したサイトではCV・CVRが向上し、デザインなどを変更したサイトより効果が高いことが示されていました。
リニューアルというとデザインや見た目・フォントといった表面上の変更を考える人が多いですが、見た目を変更しても今まで馴染んだWebサイトのイメージが変わってしまうので、ユーザーは離脱しやすくなります。
反対に、デザインは変わらなくても面白そうなコンテンツが増えていれば、ユーザーは興味を惹かれるでしょう。
つまり、成果を上げたいなら、以下のようにイメージを変えるのではなく既存のコンテンツを改善する方が効果的なのです。
【例】
- 新コンテンツを増やしてユーザーに新たなアプローチをする
- 逆に検索エンジンから評価の低いコンテンツを減らす
- CVボタンの数を増やす
- ボタンの文言を、ユーザーにとってハードルが低くアクションしやすいものに変える
コーポレートサイトリニューアルの手順と期間
では、コーポレートサイトを効果的にリニューアルしていくにはどのようにしたらいいのでしょうか?ここからは、具体的な手順と期間について解説していきます。
現状の状況を把握・分析
まずは、既存コーポレートサイトの現状分析が重要になります。この分析をおろそかにして、ただ「サイトが古くなったから」、「飽きたから」といった不確定要素の元にリニューアルを検討すると、成果につながらないためせっかくの時間と投資が無駄になってしまいます。
分析には、ヒートマップやGoogleアナリティクス、サーチコンソールなどの解析ツールを使用していきます。
Googleアナリティクス
Googleアナリティクスとは、Googleが提供する無料のアクセス解析ツールです。
サイトのアクセス数や流入経路、ユーザーの地域や使用デバイス、検索キーワードやサイト内での行動やコンバージョン率など、ありとあらゆる情報をデータ化し、分析することができます。コーポレートサイトのリニューアルでは、ユーザーの傾向・行動分析に役立てることが可能です。
⇒Googleアナリティクスでランディングページを分析する方法|入門編
Googleサーチコンソール
Googleサーチコンソールも、上記のアナリティクスと同じGoogleが提供する無料の解析ツールです。
Googleアナリティクスではアクセスしてきたユーザーの動きに対して解析するのがメインだったのに対し、Googleサーチコンソールでは、検索エンジンでのサイトの順位や表示回数・クリック数・検索キーワードなどを解析しています。
コーポレートサイトのリニューアルでは、SEO対策で改善すべき点などの分析に役立ちます。
⇒【失敗しないために】ランディングページにおける検索キーワードの関係性
ヒートマップ
ヒートマップは様々な企業がツールを提供していて、無料から有料まで様々です。
特徴は、サイト内でのユーザーのマウス・スクロール・タップなどの動きを解析して、数値に色をつけることでサーモグラフィーのように可視化していくことです。サイト内の複雑なユーザーの動きが目に見える形で浮かび上がってくるので、問題点を分析しやすいのがメリットです。
コーポレートサイトのリニューアルでは、ユーザーの離脱ポイントやサイトのユーザビリティ向上ポイントを分析することができます。
⇒【CVRが2倍⁉︎】ヒートマップを使ったLPの分析・改善方法
リニューアルの目的設定・ゴール設定
前述で紹介した解析ツールを使って分析が終わったら、次はその分析を元にリニューアルの目的、つまりコーポレートサイトにおける『新たなゴール』を設定していきます。
ここで、CV・CVR数をあげたいというような安易なゴール設定は考えものです。なぜなら、ただCV・CVRを上げたいだけならリニューアルではなく広告費を上げた方が遥かに結果が出しやすいからです。
コーポレートサイトのリニューアルでは、例えば以下のように具体的な目的を持つことが重要です。
【例】
- 熟読率が高い部分をより充実させたり、補足のコンテンツを入れてさらに熟読率を○%あげる
- 熟読率が低い部分に画像を入れたり、面白いコンテンツに変えるなどして熟読率を○%あげる
- 離脱率が高い原因を探り、コンテンツの改善をはかって熟読率○%にあげる
制作会社の選定
次に、実際にリニューアルをする制作会社の選定です。これは、コーポレートサイトをどのくらいリニューアルするかによって、どの制作会社に依頼するかが違ってきます。
例えば、コンテンツ追加程度のリニューアルであれば、以前コーポレートサイトを制作した会社に任せる方が、内部を熟知しているという点でスムーズに進む可能性が高いです。しかし、全く効果の出ていないコーポレートサイトであるなら元の構造から変える必要もあるので、制作会社を変える必要があります。
具体的なリニューアル計画を策定
制作会社の選定を行ってどこに依頼するか決まったら、制作会社の意見も聞きつつ具体的なリニューアル計画を練っていきます。
ここで必要になるのが、前述したリニューアルの目標・ターゲットの再設定です。最初の現状分析で解析データの分析が難しかった場合は、制作会社にデータを見てもらいながら意見を出してもらうのも一つの手です。
企画構成・ワイヤーフレーム制作
続いて、企画構成・ワイヤーフレーム制作です。ここからは制作会社のフェーズとなりますが、発注側の目的と制作側のプロの視点を上手く取り入れるため、制作会社とよく連絡を取り合っていく必要があります。
企画構成やワイヤーフレーム制作では、コーポレートサイトをどのようにリニューアルしていくのかを構成する『設計図・下書き』を制作していきます。この部分で、「成果をあげるためにどの部分にどの要素を盛り込むのか?」「ある要素をその位置に入れる理由は何か?」をチェックしましょう。
デザイン制作
企画構成・ワイヤーフレームがOKとなれば、次はデザイン制作に移っていきます。
デザインは企画構成・ワイヤーフレームを元に、デザイナーによってデザイン案をいくつか出してもらいます。サイトデザインを変える場合は企業のイメージや目的と合っているか?をチェックし、コンテンツ追加のみの場合は当初のデザインと違和感がないか?も確認しましょう。
コーディングおよびシステム構築
デザインが確定したら、そのデザイン案を元にコーディングやシステム構築をしていきます。
コーディングの段階で「やっぱりこの要素も入れたい」となると作業のやり直しになってしまうので、サイト内に盛り込みたい要素はデザインの段階で出しきるのがポイントです。
基本的にコーディング後の動作チェックなどは制作会社で行われますが、仮サーバーにアップロードしたものを発注側がチェックするケースもあります。
納品
コーディング・システム構築まで全て完了したら、納品です。納品は制作会社側でサーバーにアップロードして公開してくれるケースと、データをもらって自社で公開するケースの2パターンがあります。
リニューアル開始から納品までの期間は作業量によって様々ですが、早ければ分析から合わせて1ヶ月もあれば納品となります。
コーポレートサイトリニューアルの費用
コーポレートサイトのリニューアルは、制作会社によってリニューアル費用のバラツキが大きいため相場を見極めるのが困難です。しかし、もし現在のコーポレートサイトを以前制作会社に依頼したことがある場合は、その時の制作費用が一つの目安になります。
例えば、サイトの全てをリニューアルする場合は「通常の制作費用と同じだけかかるだろう」と予想することができます。ただし、既存のHTMLをただリメイクするのではなく、スマホ対応したりCMSなどを導入する場合は元々の制作費用より高額になる可能性があります。
また、コンテンツの追加に関しては、追加するボリュームやクオリティによって費用が変わってくるため、元の制作費用よりも高額になるケースもあります。制作会社によっても様々なので、「どのくらいのコンテンツをリニューアルで追加したいのか?」を伝えて実際に見積もりを出してもらうのがオススメです。
参考:【現役ディレクター監修】コーポレートサイトの見積もりから発注に関する基礎知識
コーポレートサイトリニューアルで注意するポイント
コーポレートサイトリニューアルを制作会社に依頼するにしろ自社で行うにしろ、注意しておきたい3つのポイントを押さえておきましょう。
優先順位を必ずつける
1つ目は、ターゲットや目的の優先順位を必ずつけることです。
コーポレートサイトは、顧客・採用希望者・見込客・投資家・取引先など様々なステークホルダーがアクセスしてくるので、多くの目的を持って発信できます。しかし、全てのターゲットに対して全ての目的を果たそうとすると、コンテンツが散らかってどのターゲットにも刺さらないサイトになってしまいます。
リニューアルの際はあれもこれもとなりがちですが、例えば『今回のリニューアルではとにかく採用を強化させたい』『何を差し置いても他のスマホに最適化させたい』『商品の問い合わせを増やして業績を上げたい』というように、一つの大きな目的を決めて優先順位をつけるのが重要なのです。
操作性やUI構造に独自性を求めない
2つ目は、コーポレートサイトの操作性やUI構造に独自性を求めないことです。
そもそもWeb上のコーポレートサイトの役割は、アクセスしてきたユーザーの疑問点や欲しい情報を提供して問題解決に導くことです。そのため、大掛かりなプロモーションビデオや独特の仕掛けを入れたチラシのように、UI構造に独自性を求めてアピールする必要はありません。特に、コーポレートサイトには様々なタイプのターゲットがアクセスしてくるので、どんなユーザーでも迷わず求める情報にたどり着けるようにデザインしていくのが重要です。
つまり、操作性やUI構造は、あくまでもユーザーが一番使いやすいシンプルな機能がベストということ。ブランドイメージを上げたいからと独自性を入れるとかえって離脱の原因となってしまうので気をつけましょう。
あくまでもユーザー目線
3つ目は、リニューアルはあくまでもユーザー目線で行うことです。
既存のコーポレートサイトを刷新するとなると、企業側からどうしても発信したいコンテンツも出てくるでしょう。しかし、それが本当にユーザーから求められている情報かどうかを見極める必要があります。もし、その情報がユーザーから求められていない場合、企業の自己満になってしまうだけでなくユーザーが本来求めていた情報が隠れてしまって、ビジネスチャンスを逃してしまうことにもなりかねません。
コーポレートサイトの問題点を洗い出す際などは、例えば実際にユーザーになりきってリモートテストをしたり、コールセンターに寄せられる苦情や質問などを元にサイトの改善点を見つけ出してリニューアルの目的とするなど、ユーザー目線に立つことが重要です。
コーポレートサイトリニューアル後に行う施策
コーポレートサイトのリニューアルで前述してきた内容を全て完了させた後は、どのようにすればいいのでしょうか?ここからは、リニューアル後に行うべき3つの施策について解説していきます。
サイトリニューアルを告知
まずは、コーポレートサイトをリニューアルしたことを幅広く告知します。
サイトをリニューアルしても、誰もアクセスしてこなければ意味がありません。リニューアルの目的を達成させるためには、数多くの人に訪問してもらうことが大切。そのためにはSNS・Web広告・ブログ更新・イベント開催・プレスリリースなどで幅広く告知していく必要があります。
また、同じURLでアクセスしてきた人が「違うサイトだ」と勘違いしないように、お知らせページなどでリニューアルした旨を知らせると離脱防止にもなります。
リニューアル後の検証
次に、リニューアル後の検証です。
リニューアル後は、コーポレートサイトが当初設定した目的に近づいているか?達成しているか?などを検証する必要があります。Googleアナリティクスやヒートマップなどを用いて効果が薄い点などがないか分析していきましょう。
参考:コーポレートサイト運用の主な業務は?外注費用の相場や注意点も解説
ABテスト
もし当初設定したゴールに到達していない場合は、問題点を探ってその部分を改善し効果が出るかABテストを行なっていきます。ABテストは、追加したいコンテンツのコピーやデザインをもう1種類用意し、どちらが効果的かデータを見ながらテストしていく手法です。
ある一定の期間を決めてテストの結果が出たら、より成績のいい方を採用していきながらゴール到達を目指しましょう。
まとめ:リニューアル後に必ずアクセスが増えるとは限らない
多くの人が「リニューアルをすればアクセスが増える」と思いがちですが、冒頭でも触れた通り、リニューアルに成功しても必ずしもアクセスが増えるとは限りません。しかし、ユーザーにとってより使いやすいサイトにすることで、資料請求率が上がったり採用希望者が増えたり、投資家に魅力を伝えやすくなったり、と様々なメリットを得られやすくなります。
古いコーポレートサイトのリニューアルを考えているなら「ただ何となくリニューアルをする」のではなく、「今企業に必要な目的は何か?」や「ユーザーはどう思っているか?」を軸に効果的な改善を行なっていきましょう。
この記事のおさらいポイント
・コンテンツ重視のリニューアルは失敗しにくい
・リニューアルの手順は現状把握から
・目的の優先順位を決め、ユーザー目線を忘れないことが重要
・リニューアル後は多くの人に告知し、検証・改善を続けていく
コーポレートサイトは、企業の特徴を魅力的に伝えながら、目的に適したサイト制作が必要です。
弊社は、初めてコーポレートサイトを作る方やリニューアルを考えている方など、幅広いお客様への制作に対応できますので、お気軽にご相談ください!