企業が理想に近い人材を効率的に採用していく上で採用サイトは欠かせません。しかし、採用サイトはすぐに結果が出るものではなく継続的に検証し、改善やリニューアルを繰り返す必要があります。
また、リニューアルとなると結果が出るのは翌年のエントリー数からと時差が生じてしまうことから優先順位が低くなりがちです。
そこで今回はリニューアルが必要なサイトの特徴や実際の手順、注意事項などを紹介していきます。
この記事を読んだらわかること
・採用サイトリニューアルの手順と期間
・現状の分析をするためには専用のツールを使う【Google アナリティクス、サーチコンソール、ヒートマップ】
・リニューアルに必要な費用
・リニューアルの注意事項
・リニューアル後に行う施策【リニューアル告知、検証、ABテスト】
採用サイトは、採用戦略の1つでしかなく、とりあえず採用サイトを制作しても求人が増えることはありません。
弊社は、お客様の採用戦略に最適な採用サイトの提案ができますので、ぜひご相談ください!
リニューアルが必要な採用サイトの特徴
まずはリニューアルが必要なサイトにはどんな特徴があるのかを解説していきます。中にはその必要はなく簡単な改善程度でも十分な場合もあるので、基準を理解してリニューアルを検討する際の指標としてみて下さい。
リニューアルが必要になる採用サイトの特徴とは以下のようになります。
・企業目線の採用サイトになっている
・コンテンツよりも演出重視
・他社との違いが曖昧
・社内の雰囲気が伝わらない
・理想の人物像が前提になっている
これらの特徴について掘り下げていきます。
企業目線の採用サイトになっている
採用サイトを制作する際に企業理念や代表者のメッセージ、求める人物像などを掲載することが多いですが、企業側の想いをぶつけるだけでは自己満足のコンテンツと受け取られたり、価値観の押しつけと捉えられてしまいます。
求職者の立場からすると企業側の理念や一方的な想いは関係なく、どのような環境で働けるか、どのような成長ができるかというメリットの方が重要です。
もちろん会社のことを理解してもらう上で、理念や求める人物像などのコンテンツは必要ですが、企業側の一方的な主張では求職者には響かないので求職者のニーズにあった内容を考えましょう。
コンテンツよりも演出重視
最近ではおしゃれなデザインを使ったり、派手な演出を加えるなどしてユーザーを楽しませようとする採用サイトがありますが、本当に重要なのは中身のコンテンツ(文章)です。
演出やデザインは興味を引いたり、目を引くという点では有効ですが、求職者が判断するのはコンテンツなので、演出ばかりに手間をかけると中身の無さを誤魔化していると捉えられる可能性があります。
なので、サイト訪問者が検索したキーワードなどから求職者に響く単語などを導き出し、コンテンツの修正などを行うべきです。
他社との違いが曖昧
一般的に就職・転職活動をする際、業界を絞り同業企業を複数社受けることが多いです。そのため、説明会などでエントリーを増やす場合には、求職者に他社との違いと自社の優位性が明確にわかるように伝えなければいけません。
特に優秀と呼ばれるような求職者は複数社から内定をもらうので、様々な角度から各企業を比較します。採用サイトも比較対象の一つで、会社の特徴や働くメリットなどが端的にわかるようになっていなければいけません。
内定を出しても断られる比率が多いのであれば、コンテンツが弱い可能性があるので見直しを検討しましょう。
社内の雰囲気が伝わらない
採用後の早期退職などのミスマッチを防ぐためにも採用サイトで社内の雰囲気を伝えることは重要です。しかし、中には有料素材を使ったり、おしゃれさを優先して働いている様子や職場の雰囲気が伝わらない写真を使っているケースがあります。
他にも社員情報がないなど閉鎖的なイメージを与えるようなコンテンツでは怪しい目で見られてしまいエントリーに繋げることができません。
できるだけオープンなイメージを与えられるよう社内の情報を発信し、求職者が安心してエントリーできるよう心がけましょう。
理想の人物像が前提になっている
採用サイトの目的は理想的な人材を採用することですが、その理想がどの企業も欲しがるような優秀な人材になってしまっていることがよくあります。
前述したように優秀な人材は当然大手企業などからも内定をもらうので、一般的には資金の潤沢な企業や外資の企業などに流れてしまいます。それよりも自社のマーケットにおける立ち位置を現実的に受け止め、多様性のある人材をターゲットとする方が賢明です。
一度、求める人材の理想像を現実的に考え直し、そのターゲットに刺さるコンテンツを作りましょう。
採用サイトリニューアルの手順と期間
続いてリニューアルの手順と必要な期間について理解を深めましょう。作業工程自体は初回の採用サイト制作と同じような流れですが、先に現状の問題点を洗い出すなどいくつか異なる点があります。
実際にリニューアルの際に行う作業は以下の通りです。ここでは各作業の詳細について解説していきます。
・現状の状況を把握・分析
・リニューアルの目的設定・ゴール設定
・制作会社の選定
・具体的なリニューアル計画を策定
・企画構成・ワイヤーフレーム制作
・デザイン制作
・コーディングおよびシステム構築
・納品
現状の状況を把握・分析
まずは現状の採用サイトが抱えている問題点を洗い出す必要があるので、Google アナリティクスやサーチコンソール、ヒートマップといった解析ツールを用いて現状の分析を行っていきます。
また、分析を進める上でどこからのエントリーが多いのかを知る必要があるので、採用サイトと求人媒体双方の月ごとのエントリー数をデータとして残しておきましょう。
各種ツールの用途については以下で解説していきます。
Googleアナリティクス
これはサイト訪問者がどのような行動を取っているかを知ることができるツールです。サイトの訪問者数はもちろん、訪問者が検索から来たのか、リンク経由か、使用しているデバイスはパソコンかスマホかなどがわかります。
例えばスマホで見ている人が多ければスマホ版のデザインを改善する、特定の広告からの流入が大きければ広告の運用方法を変えるという判断がしやすくなるということです。
他にもどのページが見られているか、滞在時間はどのくらいかなどがわかるので修正すべきページが見つけやすくなります。Google アナリティクスについてもっと詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてみて下さい。
「内部リンク(グーグルアナリティクス)」
Googleサーチコンソール
アナリティクスがサイト訪問後の情報を知れるのに対し、サーチコンソールはどんなキーワードで検索されているのか、クリック数はどれくらいかなどのサイト訪問前の情報がわかるツールです。
他にもインデックスされている情報の確認やクロールエラーなどの情報がわかるので、SEO対策の面で非常に高い効果を発揮します。
特に検索されているキーワードなどをコンテンツの中に盛り込むことで、より検索からの流入が増える可能性もあるのでアナリティクスと合わせて活用をしましょう。
サーチコンソールの使い方や登録方法などを知りたい方は以下の記事を参照して下さい。
「内部リンク(サーチコンソール)」
ヒートマップ
ヒートマップはユーザーのマウスの動きを追跡することで、ページ内のどの部分が着目されているのか、逆に見られていない部分はどこなのかといった情報を色で表すことができるツールです。
他にもクリックした場所やサイトを離脱した場所からユーザーが興味を持っている場所や問題のある箇所が判別できるので分析を行う上では欠かせません。
また、スマホ画面にも対応できる上に性別や年齢といった属性ごとの反応がわかるので、それらを踏まえてリニューアルをすることで理想に近い人材にエントリーしてもらえるサイトにすることができます。
ヒートマップのその他の機能や使い方を知りたい方は以下の記事を参照して下さい。
「内部リンク(ヒートマップ)」
リニューアルの目的設定・ゴール設定
現在の採用サイトの分析が完了したら次はその情報を元にリニューアルの目的と新たなゴールを設定します。例えば目的をエントリー数の向上としたらゴールはエントリー数を何名にするのかということです。
他にも説明会や求人媒体でのエントリー数を目的としたり、ブログの記事を何本に増やすといった目標でも問題ありません。具体的なKPIを設定することでリニューアル計画自体も具体的なものになります。
制作会社の選定
具体的な目的の設定ができたら次にリニューアルを依頼する制作会社を選定します。コンテンツの追加程度であれば採用サイトを制作してもらった業者に依頼すると話がスムーズに進むのでおすすめです。
ただ、最初に制作をしてもらったサイトの効果が低かった場合は他の業者に変える方がいいので、業者を探してリニューアルの見積もりを依頼しましょう。
具体的なリニューアル計画を策定
リニューアルを依頼する制作会社が決まったら制作会社の意見も聞きながら具体的なリニューアル計画を練っていきます。
無意味な変更をしないためにも依頼内容やリニューアルの目的をしっかりと説明し、その上でどのように改善すべきか意見をもらいましょう。
企画構成・ワイヤーフレーム制作
ここは基本的に制作会社が行う作業です。サイトの企画構成やワイヤーフレームといった見た目の大まかな設計図を作っていきます。
基本的にはここまで行ってきたリニューアルの目的やリニューアル計画などの工程をビジュアルで表現する作業なので、打ち合わせに問題なければこの工程はスムーズに進むはずです。
デザイン制作
ここも制作会社が行う作業ですが、デザインは一度着手すると変更できないことが多く、変更できる場合でも追加費用が発生する可能性があるので、伝え漏らした情報がないか注意をしましょう。
デザイン部分は変更せずにコンテンツだけを追加する場合は、当初のデザインと違和感がないかを確認することが大切です。
コーディングおよびシステム構築
これがサイトリニューアルの最後の工程です。この作業が終わったら演出や動画などが正常に作動するか、デザインが崩れることがないかなどを確認します。
特に問題がなければ晴れてリニューアルは完了です。
納品
最後は制作会社から納品を受けてリニューアル完了です。ここまでに要する時間ですが、分析から見ても早ければ1ヶ月程度で全行程を終えることができます。
スムーズに進めるためにも分析やリニューアルの目的設定などをしっかりと行っておきましょう。
採用サイトリニューアルの費用
採用サイトのリニューアル費用ですが、各業者によって費用感はバラバラです。大まかにサイト全体のリニューアルになるのか、コンテンツの追加などの部分的な対応かによって費用は大きく変わります。
全体のリニューアルの場合は基本的に初回の制作費用と同じくらいと思っておく方がいいです。また、もともとPC版のみだったサイトをスマホ対応させるなどの場合は作業量も増えるので初回よりも高くなる可能性があります。
コンテンツ追加の場合は制作業者に問い合わせる必要がありますが、どちらの場合も元のサイトの原稿や写真などを流用するとコストを下げられる可能性があるので制作会社と相談してみましょう。
採用サイトリニューアルで注意するポイント
サイトをリニューアルする際に、以前よりもいいものを作りたいという思いから余計な機能を追加してしまい、逆にユーザーの離脱率を上げてしまうというったことが起こります。
こうした事態を避けるために、ここではリニューアル時に注意すべき以下の2つの内容について解説していきます。
・操作性やUI構造に独自性を求めない
・あくまでも求職者目線
操作性やUI構造に独自性を求めない
採用サイトを制作する際に他社との差別化を図ろうとして、操作性やUI構造などにオリジナリティを求めがちです。しかし、操作性に独自性を求めても求職者からすれば大した違いは感じなかったり、むしろ使いにくいと感じる場合もあります。
それよりも操作性はシンプルにしつつ、オリジナリティのあるコンテンツが満載のサイトの方が求職者にとっては価値が高いです。使いにくいという印象を与えてしまうと即離脱に繋がるので注意しましょう。
あくまでも求職者目線
リニューアルをする際、最初の分析で現状の問題点を洗い出しますが、必ず求職者の目線で分析をしなければいけません。
例えば企業側が「この情報は多くの人に見て欲しいからここに配置したい」と思っても、それが求職者にとって価値のないページであれば、エントリー率を下げる原因になります。
自己満足のサイトになってしまうと成果は出ないので、求職者が何を求めているのか、どういった配置だと見やすいのか、どうすればスムーズに読み進められるかなどを考えてリニューアルをしましょう。
採用サイトリニューアル後に行う施策
サイトのリニューアルが完成してもまだ気を緩めてはいけません。リニューアルの効果があったのか測定し、ゴールに達していない場合にはさらなる改善が必要です。
そのためにリニューアル後にやるべき3つの施策があります。ここでは以下の内容について深く掘り下げて居解説していきます。
・サイトリニューアルの告知
・リニューアル後の検証
・ABテスト
サイトリニューアルを告知
サイトリニューアルが完成したらまずはそれを告知しなければいけません。告知はプレスリリースやSNS、コーポレートサイトのお知らせページなど活用できる全ての媒体で行います。
採用サイトはとにかくリンクからの流入が必要なので、できるだけ多くの媒体で告知して見てもらうための努力をしましょう。
リニューアル後の検証
リニューアル後は設定した目的やゴールが果たせているのを検証することが大切です。ここでもリニューアル前の分析と同じようにヒートマップやGoogle Analyticsなどのツールを用います。
もし、目的が達成できていないのであればリニューアル前後のデータを比較し、どこに問題があるのかを洗い出さなければいけません。採用サイトはこのように運用を繰り返すことで効果の高いものになっていきます。
採用サイトの運用についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事を参照して下さい。
参考:採用サイト運用の主な業務は?外注費用の相場や注意点も解説
ABテスト
当初設定した目標に届いていない場合にはABテストを行います。ABテストとは現状のサイトにコンテンツを追加したりデザインを若干変更したサイトを用意し、2つのサイトの反応を比較するという検証方法です。
ABテストは再度リニューアルするよりも安価で工数もそれほどかかりません。小さな変更を行い、その効果を測定する際には有効な検証方法なので、ぜひ活用してサイトの効果を高めていきましょう。
まとめ:リニューアル後に必ずアクセスが増えるとは限らない
リニューアルの手順や注意事項について解説してきましたが、理解して置かなければいけないのは必ずしもアクセスが上がるなどの結果が得られるわけではないということです。
分析が不十分で求職者のニーズを満たせていなければ当然効果はでませんし、余計な機能を追加したり企業の自己満足のようになってしまうとリニューアル前よりもアクセスやエントリー率が下がる可能性もあります。
そうならないためにもまずは求職者目線で分析を行い、求職者のニーズを満たしたサイトを作ることを心がけましょう。
この記事のおさらいポイント
・リニューアルをする前にヒートマップやサーチコンソールを使って分析を行う
・分析結果に基づきリニューアルの目的やゴールを設定してから制作を開始する
・費用はサイト全体のリニューアルか部分的な対応かによって大きく変動する
・操作性よりもコンテンツのオリジナリティを追求する
・リニューアル後も効果の検証を行い改善を行っていくことが重要
・採用サイトをリニューアルしても必ずしも効果が出るわけではない
採用サイトは、採用戦略の1つでしかなく、とりあえず採用サイトを制作しても求人が増えることはありません。
弊社は、お客様の採用戦略に最適な採用サイトの提案ができますので、ぜひご相談ください!